曽田照子
広告制作プロダクションでコピーライター経験後、フリーライターとして独立。現在は3人の娘の子育て経験を活かした書籍を執筆している。著書に『ママ、言わないで! 子どもが自信を失う言葉66』(学研パブリッシング)『ママが必ず知っておきたい! 子どもに言っては行けない55の言葉』などがある。
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生活・しつけ
小学1年生 2014年7月28日の記事
子どもにハッパをかけようとかけた言葉が、かえって子どものやる気をなくすことって、少なくありません。言えば言うほど逆効果とわかっていても、言いたくなってしまうのが親心。どうせなら、子どもが自分からやる気を出して、いろいろなことに取り組めるようになる言葉をかけたいですね。
そこで『お母さん、ガミガミ言わないで! 子どもが勉強のやる気をなくす言葉66』(学研パブリッシング)の著書である曽田照子さんから、ご自身の経験とともに、NGワードを口にしないための「考え方を変えるヒント」や「親子の関係をよくする方法」などをうかがいます。
● 「もう1年生なんだから……」
→「新しいお友だちができるんだよ」など、小学校が楽しみになるような声かけを
入学前に1度は言ってしまいそうな言葉ですね。親としては、しっかりしてほしいとやきもきしてしまって、つい……という感じなんですが。
曽田 「ほかにも入学前の子には、『そんなんじゃ、1年生になれないよ』とか『先生に叱られるよ』『小学校は勉強に行くところだよ』などと言ってしまう人が多いのではないでしょうか。入学を前にした子どもがこういうことを言われたら、プレッシャーになりますよね。
脅すような言葉はできるだけ言わない方がいいというのはわかっているのでしょうが、お母さんとしては、うまくやってほしいからこそ『あらかじめ覚悟させたい』と警告するんですよね。
でも、子どもは親が思う以上に言葉をそのまま受け取りますから『学校は怖いところなんだ』などと思い込んでしまっては、スタートから出遅れてしまいます。
勉強を好きになる第一歩は、学校を好きになること。まずはハードルを低くして『新しいお友だちができるんだよ!』『給食おいしいんだって』など、小学校が楽しみになるような声かけをするようにしましょう」
●「ちゃんとしなさい」
→具体的にどうするか、行動を示す言葉に言い換えて
これは、子どもが小さいころから、しょっちゅう言っているという人も多いのではないでしょうか。
曽田 「私にも経験があります。娘が1年生になったばかりのころに『教科書をちゃんとそろえなさい』と言ったら、畳の縁に沿って一列に並べて『ママ、見てー』と得意げな笑顔を浮かべて言ってきたことがありました。今となっては微笑ましい思い出ですが、当時の私は『どうしたらこの子はちゃんとしてくれるんだろう?』と真剣に悩みました。
この場合、私は娘にどう言えば良かったのかというと『明日使う教科書をランドセルに入れなさい』です。
『ちゃんと』は、多くの意味を持つ言葉であって、言われた側がこれだけで相手の言いたいことを察するには、ちょっと高度なコミュニケーションテクニックが必要です。大人なら、これまでの経験や常識を手がかりに推測できますが、子どもにはまだ判断材料が足りません。子どもに察する力を求めても無理というわけです。
ですから、『ちゃんと』行動してほしければ、そのときの『ちゃんと』という言葉の意味を具体的に伝えてあげましょう。
『ちゃんと』と同じように使われる言葉に『しっかり』とか『いい子』なんていう言葉もあります。これも口にする前に、子どもにどうしてほしいのか、具体的に言い換えるようにするといいですね」
●「お母さん知らないからね!」
→腹が立つのはなぜなのか、よく考えて
子どもが言うことを聞かないときなど、腹立ちまぎれに口走ってしまいがちですが、親も言ってから後悔することがあります。
曽田 「私もこれを言ってしまったことが何度かあります。
子どもが勉強をさぼっていたりすると『こちらの気も知らないで』と腹が立つのは、親として当然だとも思っていました。でも。あるとき、ふと冷静になって『私はどうしてこんなに腹が立つのだろう?』と考えはじめました。怒っても仕方がないとわかっているのに、どうしても感情的になってしまう。その理由を何年も考えて、結論が出たのは最近のことです。
その原因は私の考え方でした。
私は『親が子どものことを思っているのだから、子どもはそれに応えようと努力するべき』と思っていました。おそらくそれは、自分が子どものころに、『そうしなければいけない』と親に強く言われたからで、それを裏切られるのがイヤだったのです。つまり自分が叱られた経験をそのまま当てはめて、子どもが思い通りにならないからと腹を立て、『ヤダヤダ』とだだをこねている状態だったんです。これではどちらが子どもかわかりません。
親子だからこそ、人はもともと思い通りに動かないものだということを肝に銘じないといけないんですよね。
ですから子どもに腹が立つときは、それはなぜなのか、自分なりの理由をよく考えてみてはどうでしょう。冷静に、客観的になることで、今までより少し大人の対応ができるようになれるかもしれませんよ」
ちょっと考え方を変えるだけで、出てくる言葉が違ってきそうですね。日頃から気をつけたいと思います。曽田さん、ありがとうございました。
次回は、勉強にまつわるNGワードを取り上げます。
曽田照子
広告制作プロダクションでコピーライター経験後、フリーライターとして独立。現在は3人の娘の子育て経験を活かした書籍を執筆している。著書に『ママ、言わないで! 子どもが自信を失う言葉66』(学研パブリッシング)『ママが必ず知っておきたい! 子どもに言っては行けない55の言葉』などがある。
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