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生活・しつけ
小学1年生 2012年4月14日の記事
内藤みか 連載コラム「6歳からの才能育て」第1回
第1回「ひとりでできないもん。」
はじめまして。
今月からママノートで連載させていただくことになりました、
作家の内藤みかと申します。
私には高校2年生の息子と小学6年生の娘がおります。
うちの子2人も、小学1年生だった頃に、いろ~んなことがありました。
この連載ではそのことを書かせていただく予定です。
さて記念すべき第1回は、登校について。
小学生にもなれば、毎朝「行って来まーす!」と、
元気に玄関から学校へと飛び出していくものだと思っていたのですが……、
うちの娘の場合は、そうはならなかったんですよ。
母親の私が、毎朝、娘に付き添って一緒に登校していたんです! それも、3年生になるまで……。
実は、通学途中にあるバス通りを、
娘はひとりで横断することができなかったんです。
信号がなかったので、うまくタイミングがつかめなず、「ママ一緒に行って!」と途中で引き返してきたのが始まりでした。
子どものペースはひとりひとり違います。ひとりではまだ通学できないというのも、
それが娘のリズムなので、私は叱りませんでした。
だって怖くてひとりで道を渡れないという気持ち、私にも、よくわかるので……。
でも、学校に向かう小さな子ども達の集団の中に、ぽつんと私が入ると、
まるでガリバーみたいで、すごく目立つんですよ!
娘のお友達には「え~、ひとりで学校に行けないの?」とからかわれ、
先生にまで「お母さん、ひとりで行く練習をさせたほうがいいのでは」と注意されながらの登校でした。
世間ってなかなか面白いもので、私が仕事で忙しくしている時には
「お子さんと一緒にいてあげなさい」と叱られたのに、
娘と一緒に登校すると
「お子さんと離れなさい」と逆のことを言ってくるんですよね。
でも私は娘に付き添い続けました。
だって、娘が「一緒にいて」と言ってくれているのだから、できるだけ、いてあげたいじゃないですか。
ある日、私はとあるお父さんを見かけました。そのお父さんは、暑い日も寒い日も、雨の日も風の日も、お嬢さんを校門まで送り続けていました。
やがて挨拶を交わすようになって聞いたのですが、
彼は、お嬢さんのことがただ心配で、毎朝小学校まで送っていたのです。
同じような親もいると知って、すごくほっとしました。
アメリカでは治安などの関係で、親が子どもを毎日車で送迎している学校もあるのだとか。
我が家近くの私立小学校でも親の送迎が当然のように行われています。
これからは、送迎する親の数はさらに増えていくのではないでしょうか。
娘に付き添って登校しているうちに、
私は道でケガをして泣いている男の子の世話をしたり、
乱暴な運転の車が来たら子どもたちに危険を知らせたりと、
みんなのサポート役も自然とこなすようになり、
そうなると次第に親同伴の登校風景を周りも認めてくれるようになって、うれしかったですね。
よ~し、このまま卒業まで毎朝ママが送ってあげるからね! そう張り切っていたのに……。
娘がひとりで登校できるまでに、3年かかりました。
ほとんどのお友達は、当たり前のようにひとりで学校にスイスイ行けるけれど、
内気で恐がりな娘にとっては、それは大変な勇気が必要な行為だったのです。
私は、せっつかなくてもある時がくれば「自分で渡れるから」と言い出すと信じていましたが、
本当にそうでした。
娘は4年生になった途端、「もう高学年だからだいじょうぶだよ」と、
けろっとした顔で、ひとりで登校していきました。
「今日はね、引越の大きなトラックが来たから、道の隅っこによけたよ」
彼女は通学路の小さな事件を、6年生になった今でも私にこまめに報告してくれます。
彼女は私のことを、登校仲間だと思ってくれているからなのかもしれません。
(次回「1年生のエスケープ」につづく)