- トップページ >
- 生活・しつけ >
- ☆毎日排便していても、便秘でないとは限らない!
生活・しつけ
年長 2013年8月28日の記事
☆毎日排便していても、便秘でないとは限らない!
《入学前に治しておきたい、子どもの便秘 1》コロコロ、巨大、黒っぽい、こんなウンチは便秘かも?
子どもの便秘というと、下痢と違って病気ではないと、軽く見てしまいがち。
でも、便秘を放っておくと慢性化して、さまざまな症状が出てくることも。
今回は、子どもの便秘について、さいたま市立病院小児外科部長の中野美和子先生にお話を伺います。
●意外と多い? 約17%の子が「排便は週2回以下」
そもそも子どもの場合、どのくらい出なかったら「便秘」と診断されるのですか?
中野 「まず回数で言えば、週2回以下ですね。だいたい3日に1回出なければ便秘と言っていいでしょう。
小学1~3年生420人に行なったある調査では、毎日排便している子は約33%、3日以上連続で排便がない子が17%という結果が出ています。
週2回以下の定義にあてはめると、この17%の子たちは便秘症と考えられます。数日出なくても、子どもは便秘と思いませんから、親が気づいていないケースも多いと思います。
でも、週3回以上出ていれば安心というわけではなく、便の状態も問題です。理想は、いわゆるなめらかなバナナのような形。多少ちぎれる程度の柔らかさ、あるいは気持ち硬めくらいならOKです。
便秘の子は、硬くてコロコロしていたり、短いかたまりの便になることが多いですね。色も濃いめで黒っぽかったり、こげ茶だったり、トイレで浮かないほど重いというのはよくない便です。
一番いけないのは、トイレが詰まるほど太くて大きな便。重い便秘の子に見られるのですが、『ビールの缶のような大きさ』と表現するお母さんもいるほどです」
●便がたまっても、便意を感じない腸になっている
そんなに大きいんですか?!
中野 「便が直腸で大量に詰まってしまっているからなんです。直腸は伸縮性があるので、便が大量に詰まった状態が続くと伸びきってしまいます。
健康な状態では、直腸に便が届くと→脳に刺激が伝わって→便意が起きてトイレに行きたくなる、というのが排便までの過程です。
でも、直腸が伸びきってしまうと、その刺激を感じにくくなってしまうので、どんなに大量の便が直腸にたまっても便意を感じず、ますます排せつできなくなってしまうんです」
便秘になる原因は、何なのでしょう?
中野 「直接のきっかけとしては、引っ越しや入学など環境の変化や、親御さんが精神的に不安定になるなど、家庭内の不安などのストレスが原因になることが多いですね。
ただ、便秘の子は、離乳食開始後などの早い時期から便秘ぎみの傾向があります。家庭の食習慣などのさまざまな要素があるので断定はできませんが、もともとの体質が大きな原因であることはたしかです。
ほとんどの場合は、体が成長して、腸がしっかり働くようになれば治っていきますが、そのままにしておくと、さまざまな症状が出て、治りにくくなることもあります」
次回は、便秘がひどくなった場合の症状や病院に行く目安について伺います。
プロフィール
中野美和子先生
永年にわたり、先天性の排便障害疾患の治療に携わる。
2005年に開設されたさいたま市立病院内の排便外来にて、先天性疾患だけでなく、一般の子どもの難治性便秘、便通異常、便失禁の治療も行なっている。