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生活・しつけ
2013年8月5日の記事
親野智可等 連載コラム「ママも小学2年生」 第9回
第9回 イチオシの自由研究はこれだ!
今回は「第8回 忘れ物が多いとどうなるか?」の続きを書く予定でしたが、夏休みの真っ最中なのでそれはちょいと後回しにして、自由研究について書かせていただきます。
●自由研究は悩みの種
夏休みの悩みの種の1つに自由研究があります。
親子ともども、「何をやっていいのかわからない」「どうやればいいのかわからない」と頭を抱えてしまう家庭が多いようです。
そうしているうちに、夏休みも後半に突入ということがよくあります。
ということで、今回は私のイチオシの自由研究を紹介します。
それは、次のように進めます。
1. 子どもが普段から喜んで取り組んでいることを、さらに熱中できるように応援してあげる
2. それをノートに書かせる
●好きなことをノート化すれば自由研究になる
では、詳しく説明します。
どんな子にも、好きなこと、よくやっていること、熱中してがんばっていること、などがあるはずです。
たとえば、昆虫が大好き、恐竜に夢中、よく絵を描いている、ブロック遊びが大好き、サッカーが大好き、スイミングをがんばっている、ピアノを毎日弾いている、習字をがんばっているなどです。
夏休みはいつもより時間があるので、これらのことにもっと熱中できるように応援してあげてください。
恐竜に夢中なら、恐竜図鑑を買う、恐竜博物館に連れて行く、恐竜の模型を作らせるなどです。
絵が好きなら、色の多いクレヨンを用意する、水彩や油彩や墨絵などにも挑戦させる、絵画教室に参加させてみる、美術館で本物の絵を見させるなどです。
●恐竜を自由研究にまとめる
そして、好きなことを深めさせながら、同時にノートやスケッチブックなどに形に残していくようにします。
たとえば、恐竜が好きな子なら、「恐竜のこと詳しいね。どの恐竜が一番好きなの?
このノートに絵を描いてママにも教えて」と持ちかけてみます。
子どもが描いてくれたら、まず大いにその絵をほめます。
そして、「この恐竜のことで知っていることを書いて教えて」と言います。
すると、必ずわからない部分が出てきますので、図鑑などで調べて書くようになります。
恐竜博物館に行ったら、そのときの記録をノートに書いていきます。
博物館の説明を書き写すのもいいでしょう。
写真を撮ってノートに貼るのも楽しいです。
博物館のカタログを貼ってもいいでしょう。
展示物についての感想をひと言コメントとして書いていくとさらにいいですね。
もともと好きなことなので、子どもたちはけっこう喜んで書いてくれます。
●スイミングをノート化すれば自由研究になる
スイミングをがんばっている子なら、次のようなことを書きます。
・各種の泳法についての説明
・泳法の歴史を調べてまとめる
・泳ぐときに自分が気をつけていることや自分で見つけたコツ
・コーチにほめられたこと、注意されたこと
・練習の感想や反省
・自分の泳ぎのいいところと直したいところ
・自分が泳いでいる写真を貼って、上記のことを記入する
・自分とコーチの写真を比べて分析する
・今までの自分の上達の記録やこれからの目標を書く
・スイミングの大会でうまくいったことや気をつけたいことを書く
●習字を自由研究にまとめる
習字を習っている子なら、次のようなことです。
・文字や書道の歴史を調べて書く
・墨、硯、筆、紙などについて調べて書く
・いろいろな書体を紹介する
・いろいろな書体で書いてみる
・自分の字のいいところ、特長
・習字の先生にほめられたこと、注意されたこと
・書くときに自分が気をつけていること
・書くときのコツ
・自分の今までの受賞歴
・これからの目標
●ブロック遊びをノート化すれば自由研究になる
ブロック遊びが好きな子なら、次のようなことです。
・自分がつくった作品を写真に撮って貼り、タイトル、説明、自慢、感想などのコメントを書く
・できたら、つくっている途中の写真も貼る
・いつごろからブロック遊びを始めたか、なぜブロック遊びが好きかなど、自分とブロック遊びの関係を書く
・つくるときのコツや気をつけることを書く
・レゴ、ダイヤブロック、ニューブロックなど各種ブロックで同じものをつくって、各種ブロックの違いを考察する
●もともと好きなことを研究するのが自由研究の神髄
これらはほんの一例です。
とにかく大事なのは、もともと好きなことを応援してあげて深めさせることと、それをノートなどに書いていくことです。
もともと好きなことなら、子どもたちは喜んでやります。
そして、親が上手にほめながら導けばノートに書くのも楽しくできるはずです。
そして、ノートに書く過程で、自分なりに振り返ったりより深く考えたりすることができます。
それによって、新たに気づいたり発見したりなど、さらに深めることができます。
これがとてもいいのです。
日ごろ何気なくやっていることに新しい光が当たり、また新学期からもがんばる励みにもなります。
これぞ、自由研究の神髄です。
●強制するのはNG。自分に自信をもたせるために行うのだから
これをやるときに気をつけて欲しいことがいくつかあります。
ノートなどに書くことで自由研究として学校に提出することが可能になります。
だから、ノートに書くことをおすすめしているわけです。
でも、中にはそのような作業が大の苦手な子もいます。
その場合は、冒頭に挙げた1,2のうちの1だけ、つまり「子どもが普段から喜んで取り組んでいることを、さらに熱中できるように応援してあげる」だけにしてあげてください。
ノート化を強制すると好きなことも嫌いになってしまいますので、ムリはしないことです。
ディスレクシア(読み・書き障害)がある場合は、特にそうです。
これは、自由研究を仕上げるというだけでなく、自分に自信を持たせるというさらに大きな目的のために行うということを意識していてください。
ですから、なんといってもほめることを最優先してください。
もともと好きなことをたくさんやれて、ノートにまとめることもでき、たくさんほめられて、それによってさらに好きで得意になっていく、という方向性で進めてください。
ですから、親から見たら大した価値のないように見えることでも応援してあげてださい。
そこに子どものやる気の最前線があるのですから。
【後編】手軽にできて、しかも子どもを伸ばせる自由研究はこれだ