大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年9月1日の記事
二学期がはじまり、学校のクラスには背が伸びた子、遠くへ旅行した子、夏休み中に子ども同士で遊んで仲よくなった子たちも…。一学期とはすこし違う雰囲気でふたたびはじまる学校生活。楽しく自信をもって新学期をスタートできるように、この時期に読んであげたい絵本を紹介します。
『わたしとなかよし』(ナンシー・カールソン作、なかがわちひろ訳)の主人公、かわいいぶたの女の子が言います。「わたしにはすてきなともだちがいるの」「それはね……わ、た、し!」「わたしはひとりぼっちじゃないんだよ」「じてんしゃをびゅんびゅんこいでいるときだって、わたしはわたしといっしょなの」「わたしはわたしをだいじにするの。だからはみがきもするよ」
アメリカの絵本作家が描いた、カラフルでユーモラスな絵に、深~いメッセージがこめられた本です。わたしの友達がわたし!?と子どもは笑うかもしれないけれど、ぜひ読んでみてください。「げんきがでないときには、うんとたのしいことをしてあそぼう」「ころんだときには、はげましてあげよう」と自分で立ち直る女の子を、友達やお母さんが笑顔で見ています。
子どもに「自信をもって」「もっと堂々として」と口で言うのは簡単ですが、実際はむずかしいですよね。クラスの人気者と自分をくらべて落ち込んだり、みんなの前で意見を言えなかったり。そもそも親のほうが他の子と内心でくらべて、もやもやする気持ちを抱えていたりして…?
「わたしは、わたしのことが好き」「わたしにはわたしがいるから、だいじょうぶ」と思えれば、友達のことも素直に好きになれるし、大概のことは乗り越えていけそう、と思いませんか? 運動会や発表会などもりだくさんの二学期。絵本からパワーをもらって、笑顔でのスタートにつなげてくださいね。
さて、もう1冊ご紹介したいのはこちら。『ぼくのニセモノをつくるには』(ヨシタケシンスケ作)です。
しゅくだい、おてつだい、へやのそうじ。やりたくないことだらけでゲンナリしていたケンタくんは、おてつだいロボを買いました。「ぼくのニセモノをつくって、そいつにぜんぶやってもらおう!」 ところが、ぼくのニセモノを作るのって意外とむずかしい。ぼくがどんなぼくかを、ロボに説明するために、「すきなものときらいなもの」「できることとできないこと」「ひとからどう思われている人間か」をあれこれ考えるはめになります。「ぼくらしさって一体なに?」考えれば考えるほど、複雑…。ロボにうまく説明できるかな?
ぼくは、同級生の女子にとってはさわがしくてくちごたえの多い男子だし、宇宙人にとってはちいさめでよわそうな地球人!? 毎日ごはんを食べてうんちするから「うんち製造マシーン」でもあるし、くつしたにすぐ穴があくから「くつしたボロボロマシーン」でもある…。
絵本の中にずらーっと並ぶのは、「う〜ん、そのとおりだ」と思わず納得しちゃうユーモラスな「ぼく」ばかり。アハハと笑いながらあれこれ考えていると…「そっか、ぼくは、ぼくしかいないんだ!」と「ハッ」とさせられます。
『りんごかもしれない』で絵本作家デビュー、『もうぬげない』でボローニャ・ラガッツィ賞(ボローニャ国際児童図書賞)受賞した、今、大人気のヨシタケシンスケさんの絵本です。実際手にとってみると脱力系のゆる~いイラスト。なのに…なんだか刺激的。『ぼくのニセモノをつくるには』は、「ぼくのうちがわには、ぼくしかはいれない、ぼくだけのせかいがある」ことをさりげなく教えてくれます。
いつだって、ぼくはぼく。世界にひとりだけ。そして…「まだつくりとちゅう」です。これからもっと大きくなります。みんな自分らしく自信をもって、二学期もがんばれますように!
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