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小学1年生 2018年1月25日の記事

子どもの学校の顔と家の顔、違っていても大丈夫

連載「現役先生が教える、学校ってこんなところ!」第20回

 

こんにちは、現役小学校教諭の舟山由美子です。

面談などで、親御さんに学校での子どもの様子を話すと、「うちの子のこと?」と思うほど、家と学校で言動が違うとおっしゃる親御さんは多いもの。そこで今回は、子どもの学校の顔、家の顔についてお話したいと思います。

 

学校と家の違い、子どもなりに理由がある

 

保護者との面談のとき、ふだんの掃除の時間など一所懸命に働いている子を褒めると「この子は家では自分の脱いだものも片付けません。なんにもしません!」と言われることがあります。また、学校ではほとんど何も言葉を発しない子がいて、お母さんに聞くと「家ではぺらぺらとよくしゃべって、先生があのときこう言った、ああ言った…ということから、友だちの失敗話までを、面白おかしく話してくれます。」という思いもかけない内容の話が返ってきたりします。もちろん、家でも学校でも「あまり変わらない子」というパターンもあります。

 

前者のような、学校で一生懸命に立ち働く子の場合、学校では認めてほしい気持ちが強い子どもなのだな、ということが分かります。また、後者のように学校ではほとんど話さないという子は、「話す」という回路が、今のところ家庭限定であるだけで、そのうち学校でも、あるきっかけで話すようになりそうな段階だと言えるでしょう。

家と学校の表情が違うかどうかは、家庭の兄弟姉妹の存在も関連があるようで、上の子がおしゃべりだと下の子は話さないとか、そういった例もあるからです。

 

内面と外面、違っていて当たり前

 

いずれにしても、1年生でも6年生でも、家庭と学校との顔は(程度の差はあっても)違って当たり前、というのが私たち担任教師の共通の認識です。

これは高学年の場合ですが、子どもに作文や詩を書かせると、クラスで必ず1人ぐらいは「お母さんは、自分たち子どもに対して怒っているときに電話がかかってくると、急に声のトーンを変えて、よそゆきの声で応じている。不思議だ…」という内容のものを書く子がいます。それを紹介すると、ほかの子も「ある、ある!」ということになり、クラスみんなで笑っています。

 

このように『普段とよそゆき』『本音と建て前』という構図は、社会的な生き物であるヒトだからこそ持っている感覚であり、生きていくのにある程度必要なスキル(=技術)なのかもしれません。子どもは親の鏡でもあるので、大人の中で起きていることは、必ず子どもの中でも起きることなのです。

 

ウソや言い訳が入ると、問題になるケースも

 

子どもが学校と家で違う顔を見せること、それ自体は特に問題はありませんが、親御さんの側が「子どもはいつも本当のことしか言わない」と思っていて、子どもが言ったことをそのまま信じている(信じたい)場合、子どもが学校と家とで違うことを言っていたりすると、問題につながるケースが見られます。

 

例えば、学校で自分が友だちに意地悪をしたのに、家で親に話すときは、自分が意地悪をされたとか、誰かにそそのかされてやったなどと、「ウソ」や、もっともらしい「言い訳」をして、自分に都合のよいように親に言ったりするというような場合です。

これは心理学の用語で『防衛機制』と言われるもので、端的に言えば「傷つくのがこわいから、言い訳で自分を守る」という行動です。

 

こうしたケースの場合、担任が家に電話をして学校での状況を伝えたりすると、子どもから聞く内容と違っているために、保護者が「うちの子はそんなことは言っていなかった」と気色ばむことも少なくありません。

 

こんなとき担任としては、心の中で「この子はこうして、自分を守らなければならなかったのだな」と思いながら、学校でもう一度、双方の話を聞くなどの手順を踏んで、改めて保護者と話をするようにしています。そして「親には本当のことを言うはずだ」とか「我が子は悪いことをするはずがない」と固定している我が子に対する認識(認知)を、「実はそうでもないんですよ」とか「1年生でも外面と内面が違う子はいますよ」ということをやんわりと伝え、認識を柔らかくしてもらわないといけません。そうでないと、その後に同じような問題が起きたときに、また同じ轍を踏むことになってしまうからです。

 

全面的に受け入れることで、子どもは外で頑張れる

 

もしも「うちの子も、家と学校で見せる面が違っているかも…?」などと思いあたることがあっても、それだけで心配する必要はありません。ただ、万が一、子どもが学校のことでウソや言い訳をしたら「なぜこの子はこう言ったのだろう?」と振り返るチャンスにしてみてはどうでしょうか。必ず思い当たることがあると思うのです。

 

親は子どもの安全基地です。外で不安や不快なことがあって、お母さんの元に戻ったときに、そこでお母さんに「どうしたの?」「大丈夫だよ」と言ってもらい、全面的に受け入れてもらえることで、また安心して外で頑張ることができるのです。親が安全基地として、ゆるがない存在でいれば、子どもがウソや言い訳で自分の行動を正当化することはなくなるはずです。

 


舟山由美子先生の連載はこちら

「現役先生が教える、学校ってこんなところ!」

 

 

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