【親が絶対に言ってはいけない言葉】子どもを否定的に叱り続けることの弊害とは

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【親が絶対に言ってはいけない言葉】子どもを否定的に叱り続けることの弊害とは

「ダメでしょ」「なんでできないの」「何度言ったら分かるの」と、毎日同じような注意を繰り返し続けていると、子どもに自己否定感と他者不信感を植え付けてしまうそうです。どのような言葉が子どもにダメージを与えるのでしょうか?
教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。

目次

存在否定の言葉は

今は大人になっている人たちの中にも、子どものとき親に言われた言葉で傷つき、それが一生涯の心の傷になっている人たちがたくさんいます。

そして、今も現在進行形で、日々、親の言葉によって傷ついている子どもたちがたくさんいます。

人の心が傷つくとき、その原因の大半は言葉によるものです。
親が絶対に言ってはいけないのが、存在否定の言葉です

「あんたなんか生まなきゃよかった」
「本当は欲しくなかったんだけど。できちゃったから仕方なく生んだ」
「お前なんか大嫌いだよ。顔も見たくない。消えて欲しいよ」

こういうことを言われれば、子どもは深く傷つき、とてつもなく不安になります。自分の存在そのものを否定されたのですから当然です。

子どもは、「ぼくは親に愛されていない。大切に思われていない。ぼくなんかいない方がいいんだ」と思うようになります

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人格否定の言葉

もう一つ、親が絶対に言ってはいけないのが、人格否定の言葉です

「ホント、お前はずるいね」
「また弟を泣かせて! なんであなたはそんなに意地悪なの?」
「まったくなさけない子だな」

これらは人格を丸ごと否定する言葉であり、絶対子どもに言ってはいけません。

このように言われると、子どもは「親はぼくのことをずるい子だと思っているんだ。どうせぼくはずるいよ。親もこんなぼくのことが嫌いなんだ」と思うようになります

これら2種類の言葉は、子どもに自己肯定感を持てなくさせ、同時に親に対する強い不信感も持たせます。

言い換えると、自己否定感と他者不信感を植え付けてしまうということです。

物事について否定的に叱る言葉

次に考えなくてはならないのが、物事について否定的に叱る言葉です

例えば、次のような言葉は、人格や存在を否定しているわけではなく、物事について否定的に叱っているのです。

こういう言葉ならいいのでしょうか?

「また片づけしてない。ちゃんと片づけなきゃダメでしょ」
「宿題やらなきゃダメでしょ。何度言ってもできないね」
「明日の仕度してないでしょ。そんなことだから忘れ物するのよ。何度言ったらできるようになるの」
「また歯磨き忘れてる。言われなくても自分で歯磨きしなきゃダメでしょ」

よく、子育てや教育の本などに、「人格否定や存在否定はいけません。物事について叱りましょう」と書かれています。

ですから、人格否定や存在否定はしない親でも、物事について否定的に叱る言葉はOKと思っています。

それで、こういう言葉を毎日子どもにシャワーのように浴びせかけている親もいます。

子どもの中の結論は同じになる

でも、子どもの立場になってみてください。
こういう否定的な言葉をずっと浴び続けているのは、自分以外の誰でもないのです。

ですから、子どもは「ぼくってダメな子だな。親は、ぼくのことをダメな子だと思ってる。あまり大切に思われていないんだ」という結論に至ります

つまり、人格否定や存在否定と同じように、自己否定感と他者不信感を植え付けてしまうことになるのです。

それはそうです。

こういう言葉を毎日浴びている子が、「ぼくってすごい。できる。やれる。がんばれる。親はぼくのことをすごい子だと思ってくれてる。とても大切に思ってくれてる」と思うようになるはずがありません。

ボクシングのジャブと同じ

これは、ボクシングにたとえてみると分かりやすいです。

人格否定や存在否定の言葉、相手を一発でノックアウトするメガトン級のストレートパンチです。

たった一発で相手は深いダメージを受けます

物事について否定的に叱り続けるのは、ジャブを打ち続けるのと同じです。

さすがに一発でノックアウトということはありませんが、ジワジワジワジワ攻撃し続け、否定し続け、最終的にはノックアウトに至ります。

つまり、子どもの中の結論としては同じことになるのです。

物事について否定的に叱り続けることの弊害に、気づいている親は少ない

一般的には人格否定や存在否定の言葉を言う人は少ないです。大半の人はそういうことは言わないように気をつけています。

でも、そのように気をつけている人たちですら、物事について否定的に叱るのはOKと思っています。

これが実に大きな問題なのです。

なぜなら、大多数の親たちがそういう状態だからです。

物事について否定的に叱り続けることの弊害について、気づいている親は極めて少数派なのです。

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

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